前回で説明したように、一般的なカラー印刷は、基本となる4色(CMYK=
シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の組み合せで色を表現します。これら
の基本色をもとに製版プロセスが行われることから、CMYKはプロセスカラー
と呼ばれます。
プロラスカラーとは異なり、「特色インキ」と呼ばれる、特別に調合されたイン
キを使う印刷もあります。「特色」は、プロセスカラーでは表現しきれない色を表
現するために調合された単色インキです。金や銀、蛍光色はその代表ですが、そ
れ以外に何千種類もの「特色」があります。インキメーカーにはDIC(旧大日本
インキ工業株式会社)、Pantone(アメリカ企業)、TOYO(東洋インキ株式会社)
があり、国内で最もよく使用されているのはDICです。
これらのメーカーは「特色」の番号ごとにインキを製造していますが、印刷所
でそれらすべてを保有・保管することは事実上不可能です。そのため、メーカー
が指定した配合表(レシピのようなもの)に基づき、特色専用のインキを練って
つくるのが一般的です。
「特色」は、色にスペシャル感を出して見る人の目を惹きつけたい場合や、豪華
さを演出したい場合に用いられることが多く、企業あるいは商品のロゴタイプや
マークなどによく採用されています。ただし、「特色」を使うと5色印刷(一般の
カラー印刷は4色印刷)になって印刷代が高くなるため、特色を指定する場合は、
第五回
「特色」について
編集や印刷業界には、特殊な用語や符丁がたくさんあって、部外者にはチンプン
カンプン。このコーナーでは、そんなあなたの「?」をわかりやすく解説します。
に
い
ほ
ろ
へと
は
同時に、その色に近いプロセスカラーも指
定することで4色印刷も可、とする場合が
多いようです。
また、印刷代は安くしたいが色が単調に
なることを避けたい場合は、特色とブラッ
ク(黒)を使った2色印刷にすることもあ
ります。
なお、特色の見本帳(カラーチップ)は
各メーカーから販売されており、誰でも取
り寄せ可能です。
2018.
SUMMER
04