これまで印刷用紙の厚さ、サイズについて述べてきました。今回は紙の種類につ
いて説明しましょう。印刷によく使われる代表的な紙は、コート紙、マットコート紙、
上質紙の3種類があります。
1.コート紙
紙の両面に白色顔料を塗工(コーティング)した紙のことで、最もよく使われて
いる印刷用紙です。ツルツル・ピカピカした光沢感が特徴で、色の再現性が高く、
写真がきれいに印刷できます。一方で、指紋がつきやすかったり、光が反射して文
字が見にくくなる傾向があります。
塗工する顔料の量を上げ、より滑らかで緻密にしたものがアート紙で、豪華な美
術本,高級パンフレット類などに用いられます。
2.マットコート紙
マットとは「つや消しの」「光沢のない」という意味で、光沢感を抑えた塗工紙
のことです。しっとりとした質感があり、コート紙に比べると若干色が沈む傾向に
あります。一方で、光沢度が低いため文字は読みやすくなります。
また、マットコート紙は表面の平滑度が低くボリューム感があるため、コート紙
に比べると同じ斤量(厚さ)の紙でも若干厚く感じます。
3.上質紙
表面に塗工を施していない紙で、光沢や艶がない反面、光を反射しないため読み
やすく、書籍など文字を主体とした印刷物に広く利用されています。また、コート
紙やマットコート紙に比べてボールペンなどの筆記性に優れており、申込用紙など
に向いています。
第三回
印刷用紙の種類と適性を知ろう
編集や印刷業界には、特殊な用語や符丁がたくさんあって、部外者にはチンプン
カンプン。このコーナーでは、そんなあなたの「?」をわかりやすく解説します。
に
い
ほ
ろ
へと
は
なお、紙そのものに色のついた紙を色
上質紙といい、用途に合わせてさまざま
な色の紙を使うことができます。
このほかにも紙の種類は多種多様で、
しかも、同じコート紙でも製紙会社ごと
にさまざまな商品名で発売されていま
す。そのため、印刷会社では原則として
用紙をストックせず、注文があるたびに
紙問屋から必要な種類・量の用紙を取り
寄せるシステムとなっています。
2018.
WINTER
04